・「飛び込み出産」急増 たらい回しの一因、背景に経済苦 (asahi.com 07/11/18)
要約すると、妊婦が経済的理由から陣痛まで一度も診察せずに病院に飛び込むものの、未診断の妊婦は胎児の状態が解らず、そのリスクの高さから敬遠されているとの事です。飛び込み出産の周産期(妊娠22週〜生後1週間)の死亡率は、通常の約15倍、妊婦の胎盤早期剥離(はくり)は2人で通常の10倍、呼吸障害など治療が必要な新生児は19人と通常の約20倍だったとの事。また、41人のうち11人は出産費用を病院に支払わなかったとの事です。
でも、この話はたらい回しがニュースとして賑わせた当時からあったのです。それがどうして今頃になって新発見のように記事に出してきたのかが不思議と思ったわけです。そして友達にこの話題を振ってみると、知らないんです。思ったよりも知られていない事なのでしょうか。
産婦人科の医師不足の大きな原因の一つに高額医療訴訟が増えた事があり、「医師は絶対に救える、死ねば医療ミス」等という考えがまかり通っているような状況で、診断も準備もないハイリスク患者を受け入れる方が難しいわけです。さらに費用を払わない人が1/4です(私が昔見た話だと、1/3だった気がしましたが)。私が医師の立場で自分の身の破滅を掛けてまで救って下さいと言われても、私なら逃げます。それをするのが医師だろう!という人もいるでしょうが、(経済的理由などある人に対して酷い言い方ですが)自業自得の人に携わって医師が続けれなくなるよりも、産婦人科として多くの人を助ける方を取りたいと思ってしまうのは、人間なら当然だと思います。
さらにこの記事では書いていませんが、病院にそのまま捨て子する率も高かったのです。驚く限りです。
当時からこの手のニュースが出る度に、主治医はどうしたの?とずっと思っていました。でも、意外にニュースではその話は出てこないんです。ドラマの医龍は好きですが、現実問題として医師も生活がある以上、なんでもOKで成功するとはいかないんですよね。
弱い立場が涙ながらに訴える・・・という構図はニュースとしてはいいのかも知れませんが、特集を組めるニュース番組では冷静・公平にやって欲しいんです。こういう話もいかに診断が大事な事かを普及させる事になりますので。